【門司港散策】門司港は既に 超・超・超高齢社会 - ちょっと真面目な話 -
「二足歩行できる人がどんどん少なくなっていく・・・」
65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれるそうです。内閣府によると、日本の現在の高齢化率(総人口に占める 65歳以上の人口)は 27.7% なので、日本は「超高齢社会」と言うことになります。将来推計では、40年後の2060年頃に高齢化率 38% を越えるとされています。
都市部に人口が集中し、地方は過疎化が進んでいます。北九州市はかつて100万人以上の人口を抱える大都会だったはずですが、過疎化の波をもろに受けている感じがします。1963年(昭和38年)に5市が対等合併して北九州市になりました。人口動態を見ると、皮肉なことに、その頃から成長が止まり衰退が始まったと言っても良いのかもしれません。(次のグラフはWikipediaから拝借した物です)
オレンジ色は5市合併前の人口推移で、赤色が5市合併後。ブルーは福岡市の人口推移です。
合併当時の人口は約103万人、最盛期は107万人、そして現在は95万人にまで減少しています。北九州市全体で均一に減少しているわけでなくて、特に過疎化が進んでいるのは門司区と戸畑区です。門司区の場合、合併当時約16万人だった人口が現在では10万人弱しかいません。戸畑区も5万人以上減少しています。都市部に転出していくのは比較的若い年齢層の人が多いので、この人口減少は必然的に高齢化を引き起こします。
高齢化率に関して北九州市が作成した資料がありました(平成22年)。それによると、20年後には市のほぼ全域で高齢化が進み、特に門司港エリアや若松港湾部、八幡東区工業地の人口減少と高齢化が著しいと予測されています。
さて、現在の門司港について見てみると、北九州市が公開している町別・年齢別・人口統計から、門司区全体の高齢化率は 36.5%(人口 98,335) 、門司港地区だけを見ると 42%(人口 19,018) にも達していることがわかりました。2.4人に一人が65歳以上の高齢者なのです。年齢構成をグラフにすると次の通り。言葉もありません。
特に高齢化率が高い町は、上本町、花月園、庄司町、元清瀧、丸山吉野町で、50%を越えています。これらの町は内陸部の比較的古い町なので過疎化とともに高齢化率が跳ね上がっていったのでしょう。門司港地区の中で国の平均値27.7歳を下回る町は西海岸だけで、人口はわずか280人程なので門司港地区の2%に相当するにすぎません。人口構成で85歳以上の高齢者が占める割合が一番多い町は、春日町、上本町、丸山吉野町です。
門司港地区では小中学校の統廃合も進んでいて、昔は6, 7校の小学校があったはずですが、今は2, 3校しかなく、各校の生徒数は半減以下だと聞きました。私の母校も既に跡形もありません。
一番活動的な10代から20代の人口が少ないので、街中を歩いていて「若者」を見ることがほとんどありません。60代70代位で元気な人だけが買い物に出かけてる感じでしょうか。😅
門司港の現状は、観光地化された門司港駅周辺を除いて悲惨な状況なのです。門司港出生まれ育った者にとっては悲しい現実ですが、私も門司を離れた一人なので心境は複雑です。観光客として時々訪問すると、懐かしさと共に新しい風を感じることがあります。過疎化と高齢化は門司港だけのことではありません。ただ寂れていくだけでなく、今の門司港の特色を活かして新たな町に生まれ変わっていって欲しいものです。
門司港はやはり関門海峡と港の町です。赤煉瓦の大正レトロも良いけど、関門海峡の雄大な景色を眺めたり、異国情緒溢れる町になれば魅力的です。
2020年完成予定で、元・新浜11, 12号上屋跡地に、温浴を含む複合施設が建設されることになっています 【追記:コロナの影響もあって計画は白紙化されました】。場所はプレミアホテル門司港の目の前、門司港地ビール工房の直ぐ横です。古い倉庫は既に解体されて更地になっています。
予定地からは関門海峡、そして関門橋が一望できます。海峡プラザとあわせて、門司港観光の中核となることが期待されています。ですが、実は完成するまで油断はできません。と言うのも、以前、和布刈公園にあった「めかり山荘」の跡地に宿泊施設が新築される予定で業者まで決まっていましたが実現しなかったからです。
この写真は建設予定地(門司港地ビール工房の直ぐ横)をプレミアホテル門司港前の岸壁から撮ったものです。立地条件は素晴らしくいいのですが、どうなることやら。更地になった後、いまだに工事が始まってないので地元の人は心配していました(2019年5月)。
街中には一風変わったカフェもあります。奇抜な色の店構えと、中央アジアの店に迷い込んでしまったかのような内装。調度品のほとんどがグリシェンさん(日本人女性ですよ 😁)のコレクションだというから驚きです。マスターは門司港出身なので、門司港の歴史など昔話をしながら、そして日本酒を飲みながら楽しい時間を過ごさせて頂きました。「なぜココに!」感はハンパありませんが、門司港の新しい楽しみ方かもしれません。
「グリシェンカフェ」中央アジアの博物館のような内装のカフェ
門司港の地元の人が行くエリアでは、食材が売り切れたら閉店する店が良くあります。身の丈にあった商売というか、決めた量を売り切ると時間が早くても閉店する・・・セコセコ・ガツガツと商売している雰囲気ではありません。そういうのが、もしかしたら、超高齢社会での商売術なのかもしれない・・・と、ふと思いました。
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