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2019/04/07

【門司港散策】門司港レトロ観光の影で消えていった本当のレトロたち

門司港は明治後期から大正、昭和初期にかけて栄えた港町で、かつ鉄道交通の拠点でもありました。門司港の発展と衰退は街の人口推移からもわかります。特別輸出港に指定され門司駅ができた1890年頃はわずか7,000人程度の村だったのが、10年後には人口が5倍にも膨れ上がりました。その後も第二次世界大戦前まで人口は増え続け1940年頃には14万人にまでなりました。しかし、1960年頃から人口減少が始まり、門司港レトロかオープンした頃には12万人、そして現在は10万人にも満たないのです。約90年前の大正末期から昭和初期の頃の人口とほぼ同じです。

門司港レトロ」のオープンは観光客の増加には繋がりましたが、街の人口減を抑えるような再開発ではありませんでした。住民からすると、昔からの街は何も変わらず、あくまで新しい観光地が造られただけと言っても良いのかもしれません。

私が初めて「門司港レトロ」に行ったのは、オープンして約10年も経った2005年です。それまで行かなかったのは、レトロブームで変貌した門司港を見ることに抵抗感があったからかもしれません。再開発が終わって既に10年ほど経っていましたが、その時でも、トロッコ列車が走る線路より山側と海側では人の流れが全く異なっていました。海側は観光地、でも、山側は過疎が進み寂れていくだけの門司港。観光客はバスで来て日帰りしていくだけなので、門司港駅とレトロ広場を中心にしたエリアにしか足を運ばないのです。

元々の門司港の商業の中心地は栄町銀天街でした。トロッコ列車の線路からはわずか100m程しか離れていません。にもかかわらず通りは閑散としてシャッター街になっています。そして桟橋通の角には老舗デパートの山城屋がありました。ルーツは1896年に大阪で創業した山城屋で、1934年に経営難に陥っていた平井屋を買い取って山城屋デパートを開業したのです。その山城屋も、門司港レトロブームが始まった後の2001年に廃業してしまいました。北九州市の商業の中心が小倉に移って行ったため致し方ありませんが、幼い頃に親しんだデパートの閉店にはショックを受けたものです。

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2012年に撮影した栄町銀天街入口

懐かしい山城屋百貨店の写真(https://middle-edge.jp/articles/nnw4o
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2005年以降、門司港には数年に1回程度訪問していて、前回の訪問は門司港駅が復元工事に入る直前の2012年でした。門司港の周辺だけでも街自体が少しずつ変わっているような気はしましたが、一番ショックだったのは桟橋通にあった老舗料亭・旅館の建物が無くなったことです。後継者が無く2013年に廃業、そして2016年に解体されたとのことです。

TM_初代門司駅 1900年頃
1900年頃の桟橋通。右に見えるのが4階建ての群芳閣。写真左が初代門司駅。

その旅館、群芳閣は筑豊の炭鉱主・片山逸太が引退後の1895年(明治28年)に料亭として創業したものです。初代門司駅の正面に位置し、当時は木造4階建ての立派な作りだったそうです。第二次世界大戦末期の門司大空襲で大きな被害を受けたものの消失は免れ、1950年(昭和25年)に2階建てに改築されました。戦後の建物ということで保存されることが無かったのでしょう。残念です。

群芳閣1階の角には、これぞレトロと言えそうな趣ある喫茶店「とらや」がありました。トロッコ列車の線路の直ぐ横なのですが、観光客らしい人は居なくて常連客が珈琲を飲んでたのを覚えています。私も滞在中に何度か行きました。そして、その入口の脇には「バナナの叩き売り発祥の地」の碑が立っていましたが、現在は門司港駅前に移設されています。

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2012年、群芳閣の前に石碑が建っていた頃。写真右手に「とらや」さんの看板が見えます。

数えれば切りが無いかもしれません。昔からあった店は次々に閉店し、「門司港レトロ」以降の店がポツポツとできる。そんな新陳代謝は栄えていく過程の門司港にもあったのかもしれません。

最近のレトロブームは少し変わってきてるような気がします。造られたレトロ調なものに懐かしさを感じるだけでは無く、本当に古い物に接して過ぎ去った過去を懐かしむ・・とでも言うのでしょうか。門司港には、かつての繁栄の跡が感じられるノスタルジックな場所がまだいくつも残っています。レトロエリアだけを回るのではもったいない。桟橋通から山手に入った辺りとか、栄町銀天街や門司中央市場にかけてのエリアは散策するのに絶好の場所だと思います。


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