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2018/05/16

100年前、ニューヨークにあった巨大デパート Siegel-Cooper Department Store

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(2012年撮影)

1900年前後のニューヨークは経済成長著しく、人口も400万人近くまで急激に増加していました。Ladies Mile と呼ばれるショッピングゾーンがユニオンスクエアから 6番街にかけて形成されたのもその頃です。別記事で紹介した Macy's Department Store (1858)はその先駆けとも言える存在です。ブロードウェイには、Tiffany(1870)、Lord & Taylor(1867)、Brooks Brothers(1884)なども旗艦店を構えていました。Macy's があった 6番街にデパートが林立するようになったのは、1875年の Hugh O'Neill や B. Altman デパート(1877)が開業してからです。

Siegel-Cooper Department Store は、1887年に Henry Siegel, Frank H. Cooper と Isaac Keim によってシカゴに設立されました。ディスカウントデパートとして成功を収め、その勢いで 1896年にニューヨークに進出、6番街の 18th Street のワンブロック全体を占める巨大なデパートを建設しました。当時としては世界最大規模のデパートで「Big Store」と呼ばれていました。

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この絵の頃の周辺は次の写真でわかるように、6番街には高架鉄道が走っていてデパート前も大変賑わっています。高架鉄道の下には線路のようなものが見えますが、高架になる前は路面電車が走っていたそうです。線路を撤去する余裕も無いままに高架鉄道ができるほど、当時は町の発展スピードが速かったのだと思います。1903年頃に撮られた写真で、右側に写っているのが Siege-Cooper デパートです。

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Siegel-Cooper デパートの最大の売りは、巨大な店舗もさることながら、それを可能にした鉄筋構造による柱の無い広いフロアです。入口正面には上写真のような大理石造りの噴水が設けられ、“Meet me at the Fountain” というキャッチフレーズが使われていました。現在、この噴水はありませんが、左奥に見える階段はそのまま残っています。

Siegel-Cooper は Macy's の最大のライバルだと言われていました。Macy's デパートは6番街と 14th Street の角地一体に広がった11棟ものビルに分散していたので、Siegel-Cooper の広いフロアは最大の強みだったのでしょう。この写真が撮られた直ぐ後の頃、Macy's はより広い売り場面積を求めて Broadway 34th Street, Herald Square に移転しました。そして、それが Ladies Mile 衰退の引き金の一つとなり、Siegel-Cooper デパートは 1915年に倒産、1917年に店舗もクローズしました。その後は、第一次世界大戦の頃に陸軍病院として使われていた時期もありますが、6番街のデパート群全体が倉庫や廃墟となって忘れ去られることになります。

Henry Siegel がデパートの運営に直接関わったのは 1896年からわずか 6年余りのみです。Macy's の移転は相当痛かったのでしょう。1902年には大手株主に売られ、向かい側にあった B. Altman デパートと統合して更に巨大なデパートになったものの客足は伸びませんでした。1913年には Associated Dry Goods Corp (ADG)に運営が移管されました。ADGは買収により拡大を続け、 Lord & Taylor も手中に収めています。その ADG も 1986年には巨大デパートチェーン May Department Store に買収されます。さらに、May デパートは 1992年に倒産した Macy's デパートを統合した Federated Department Store に 2005年、買収されます。そして、Federated Department Store は Macy's Inc に社名を変更しました。

ライバル関係にあった Macy's と Siegel-Cooper は、いずれも倒産と買収の波に飲み込まれて最終的に Macy's Inc で繋がったということでしょうか。

さて、栄華を極めた Ladies Mile のデパートですが、Siegel-Cooper デパートの豪華さは抜きん出ています。わずか 20年余りの営業でしたが、今も残るビルの装飾からもそれが良くわかります。

現在、6番街に面した一部はディスカウントストアとして使われています。豪華な建物とは不釣り合いですが、内部に入ってみると・・・100年以上も前の建物ですから天井の高い現代建築と比べると貧素な感じを受けます(笑)。1988年頃に撮った写真があったので、現在の姿と比べてみました。ビルの買い手がついて改装が始まったのは1991年頃とのことなので、使われていなかった頃の写真です。一階の壁には沢山の張り紙がされていて、あんなに巨大で立派な建物が廃墟同然だったのを不思議を通り越して異様に思った記憶があります。

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正面入口は大変豪華です。ブロンズ製の大きな柱とアーチ状の三つの大きな入口、二階の大きな窓は高架鉄道から内部が見渡せるようにしていたのだそうです。

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豪華な装飾が施されたブロンズ柱の後ろには、1896年に建造されたことを示すプレートがあります。

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壁面にも細かな装飾が施されていて見応えがあります。 Siegel-Cooper のイニシャルをアレンジしたロゴも見えます。

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現在、店舗になっているのは下層階のごく一部分のみで、それ以外は倉庫かオフィスとして使われているようです。Ladies Mile 全体は New York City Historical Landmark に指定されているので、古いビル群が無くなることないと思います。華やかだった昔を垣間見るにはうってつけの場所です。



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